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   『自治体立病院の経営状況』B
 日本政策投資銀行
 政策企画部次長兼課長
  吉田秀一 氏
 
 最終回は、病院を有している自治体の財政負担状況と対応について説明したい。

 自治体の財政負担状況は、フロー面とストック面に分けて推し量った。多少乱暴な試算ではあるが、各指標は自治体の規模等にかかわらずに横並びでの比較を可能にするために、標準財政規模に対する比率で見た。

 標準財政規模とは、自治体の歳入のうち、標準的な状態で通常収入されるであろう使途が特定されない経常的一般財源の規模で、自治体の規模を示す基礎的な数値といえるものである(ここでは、地方公営企業病院以外の自治体立病院の負担を含めていない。また、一部事務組合等については、構成自治体の標準財政規模の合計をもって一部事務組合等の標準財政規模とみなした。ただし、県と市町村で一部事務組合等を構成している場合には、便宜的に構成市町村のみの標準財政規模の合計を当該一部事務組合等の標準財政規模とした)。

 フロー面の負担については、他会計繰入金のうち損益を補填している収益的収入の標準財政規模比を見た。15年度の単純平均は3.4%であるが、0%から平均の4倍強までと、上位と下位の差は大きく、下位については、病院事業が他の行政事務・事業を圧迫しているのではないかと懸念される処である。

ストック面の負担については、まず、累積剰余金・欠損金の標準財政規模比を見たが、15年度末に累積剰余金を有する自治体は、754のうちわずか177に過ぎず、累積欠損金を抱える自治体が全体の75%の569に上っている。標準財政規模比8.9%の累積欠損金を抱えているというのが全体の単純平均である。中には、標準財政規模に匹敵する累積欠損金を抱える自治体もある。

 次に債務残高(ここでは、“企業債+他会計借入金+一時借入金−現金・預金”を債務残高とした)の標準財政規模比を見ると、その平均は2割強である。債務残高が標準財政規模を上回っている自治体が28、3倍以上の自治体もある。

 以上のように、病院事業が財政面でかなり大きな負担になっている自治体は少なくなく、医師不足、医師の偏在とも相俟って、自治体立病院は待ったなしの状況にあるといえよう。

 そのような中、病院内部での各種経営努力や地方公営企業法の財務規定等のみを適用する一部適用から病院事業管理者を設置して人事権等の権限を管理者に委譲する全部適用への変更、地方独立行政法人への移行のほか、民間との協働によって負担を軽減しようとする動きが活発である。

 具体的には、PFIや公設民営(指定管理者制度)、民間移譲等の事例が見られている。その中には職員が引受先である民間の医療法人に転籍した例も出てきている。
また、再編・統廃合の動きも見られ始めている。




以上
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