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看護師不足対策を考える

 看護配置基準7:1の導入により、急性期病院は看護師の確保に様々な方法で取り組んでいます。また、地方の病院は恒常的な人材不足という問題を抱えています。
 このように、看護師不足対策というテーマには様々な要素が含まれているため、基本的な理解のためには様々な視点が必要ではないでしょうか。
 以下、2つの視点により、看護師不足対策への考え方を整理してみたいと思います。


その1「医療提供体制について階層的に捉える」

1.看護師の仕事

 最近よく言われているのが、一昔前より看護師さん一人ひとりの業務の負担が増えたということです。その理由には、医療技術の進歩、医療事故に対する関心の増加、扱う文書の種類の増加、診療報酬に絡んだ業務増(在院日数短縮等)、などがあるようです。これらの負担に耐えられず、職を離れてしまう人が増えているとのことです。
 また、看護師の多数を占める女性の、職業選択の幅が昔より増えたため、看護師の絶対数が足りないという議論や、潜在看護師の増加という論点もあります。


2.病院経営

 病院経営上の変化としては、人件費の抑制・診療報酬対策としての配置数管理、各種委員会の増加、等により看護師への負担を増加させているようです。
 また、看護師は看護部門だけでなく、医師、コメディカル、事務まで幅広い部門の仕事に関わる機会が多く、視野の広い院内の調整役としての役割を果たせます。この役割の多くの場合は看護師長以上の役職者などですが、この層が不足すると、若手のフォロー・育成にも手が回らず、結果、看護部門全体が円滑に回らなくなるのではないでしょうか。

3.様々な環境

 診療報酬や保険制度といった医療政策の変化をはじめ、少子高齢化という人口構成の問題も看護師の仕事に影響を与えます。また、過疎化の進んだ地域における医療体制の変化も同様かと思われます。
 その他、看護協会といった職種団体の動きも常に把握する必要があります。


その2「看護師の立場と確保方法を分類してみる」

採用者増 離職者減
新卒者 新卒者の採用を増やす 新卒者の離職を減らす
再就職者 再就職者の採用を増やす 再就職者の離職を増やす

 病院ごと、時期ごとによって、現在どの理由のために看護師が不足しているのか傾向に違いはあるのでしょうか? もし違いがあるとすれば、闇雲に対応策を講じても、自院の状況と時期に合った対策を講じていなければ的外れとなり、薄い効果しか得られないのではないでしょうか。

1.新卒者の採用を増やす

 新卒者の採用を増やさなければならない場合。例えば、知名度の低い病院など学生に人気の無いため、新卒採用力の弱い病院がこれにあたります。
 新卒者は自分のスキルアップや専門性向上といった理由を重視する傾向があるようですので、特色ある病院作りやそのための宣伝、また、教育・研修制度の充実などが対策として考えられます。

2.新卒者の離職を減らす

 新卒者の離職を減らさなければならない場合。例えば、せっかく入ったけれども、当初のイメージと違っていた、内部の教育・研修制度がお粗末だったことに気づき、愛想を付かされてしまう病院がこれにあたります。新人が安心して働ける職場作り、例えば、現場で常にフォローできる中堅看護師の存在などが必要でしょうか。

3.再就職者の採用を増やす

 再就職者の採用を増やさなければならない場合。例えば、若手はある程度はいるけれども、その若手を指導する中堅以上の層が少ない病院がこれにあたります。
 想定される原因は、結婚・育児のために一度辞めた看護師さんが復職するのに適した病院ではないこと、例えば、勤務形態や育児環境などの未整備などでしょうか。

4.再就職者の離職を減らす

 再就職者の離職を減らさなければならない場合。例えば、復職してきた看護師が再度辞めてしまうケースが多い病院がこれにあたります。
 想定される原因には、離職期間における医療現場の変化(技術の進歩等)に対するギャップ、入る前には確認できない職場の人間関係や育児への理解度合いなどがあるでしょうか。この場合、就職前の双方の意思疎通、条件確認等が不十分であったことなど、採用側に原因があることが多いようです。

2006年10月30日
(コンサルタント 山村淳哉)

◇参考 潜在看護師の推計(厚生労働省医政局看護課作成)
潜在看護職員数の推計について
免許保持者数(a) 1,766,981 人
65歳以下の就業者数(b) 1,217,198 人
a―b 549,783 人
潜在看護職員数 およそ 55 万人

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